mikutterは、いままでRuby 1.8.7専用で開発してきた。
理由は、GUIツールキットとして採用しているRuby-Gnome2が、Ubuntuでは1.8用にビルドされたものしか用意されていないからだ。もし1.9を採用するなら、mikutterを使うためにRubyGtkをわざわざソースコードからビルドしなければならない。一方、1.8を採用すれば、apt-getで全て手に入る。
Ruby1.8と1.9では大きな変更があったが、両方で動くコードは充分に実現可能だ。そこで、今回はmikutterを両方で動くようにしてみた。
なぜ1.9を使うのか
では、1.9の追加機能を使わずにサポートするメリットとはなんなのか。主な理由は
- 速くなると思われる
- 1.8は古いので、いずれ1.9にシフトしていくだろうから
- Twitterでmikutterの開発協力者にそそのかされた
だ。とくに最後の要素が非常に大きい。
1.9系列の最新版は今のところ1.9.2だが、今回はubuntu 10.04で手に入る最新の1.9.1を使用する。
やりかた
1.9で動作させるには、trunkを使う必要がある。
参考サイトには10.10用と書いてあったが、10.04でも同じ手順で問題なかった。ただし、現在Ruby-Gtkはより新しいバージョンがリリースされている。
また、Ruby-GtkのフルセットとGtkのみが入ったパッケージがあるが、mikutterを動かすならGtkだけで良い。
加えて、READMEに書いてあるライブラリも1.9用のものを入れる必要がある。また、libhmac-sha1は1.9用のものが用意されていないので、gemでインストールする必要があった。
# apt-get install rubygems1.9.1
# gem1.9.1 install ruby-hmac
mikutterはrubyコマンドで起動するようになっているが、この方法ではruby1.9.1というコマンド名でインストールされる。そのため、
$ ruby1.9.1 mikutter.rb
のように起動しなければいけない。通常通り起動すれば、1.9.1をインストールした後でも1.8で動作させることができる。
どう変わったか
私の開発環境では、起動時間に圧倒的な差があった。1.8が23秒であったのに対し、1.9は7秒で起動できた。実に三倍である。
mikutterはリプライ元など取得に時間がかかる可能性のあるものは遅延して表示するが、起動時間にはこれは含まれていない。あくまでつぶやきが表示されるまでの時間だ。
しかし、その遅延して表示されるウィジェットもいずれも高速に表示され(見た感じ倍速程度)、非常に快適になった。
高速化のための遅延レンダリングが露骨に見えることも多かったが、1.9を使えばそれも殆ど見えなくなった。
今後
mikutterは非常に高度で複雑なウィジェットの配置をしている。UIを妥協なしに実装したいがためであったが、マシンパワーを異常に浪費してしまっていた。そこでCairoによるタイムラインのレンダリングを検討していたが、1.9を採用すれば充分に高速化されることが期待できるので、このまま様子を見ることにした。
更に改善を続ければ、1.9でも問題なく使えるようになるだろう。